問6bで多くの人が苦戦すると思います。「どのような工夫を盛り込んだ研究方法を考案するかという」設問のメインに対して資料4,5を引用しながら資料1~3の価値観を確認しながら具体度を高めていく解答方法で攻めてみました。
資料4の定性的な調査をまずしたいと思う。具体的にはインタビューなどを通じてBさん夫妻が目指す「生きる」の質(性質)をみきわめて、何を定量するかを考えていきたい。さらに具体的には資料5の桜の研究にあるように、桜の身になったつもりで、一緒でなくても隣に家を建てて一緒に生活するくらいの感じで1か月くらい話をききたい。とりとめのない話のなかから、Bさん夫妻が新しい暮らし方のなかで何をどう楽しんでいるかを話をきき、そして観察する。このインタビューと観察から資料1~3にあるような「生きる」というのはどういう住まい方、暮らし方のなかに潜んでいるかがみつかると考えている。
現時点で仮説として、料理する時間を定量化してみたいと思う。今まで通りの料理だったりレシピ通り料理をつくるなら、時間はかからないと思う。都心での料理の時間(もしかしたらコンビニ?レンチン?)が15分としたら、それ以上に料理に時間をかけているのではないだろうか。(畑からとってきたものをどう料理しようかとか、今日は何が食べたいなど)それはそのまま「生きる」に向き合った時間(悟性を育てる時間)になるのではないか。なので、料理のことを考えた時間と料理時間をアンケートにして2か月目の調査としたい。この数値があがっていれば、Bさんが大切にしたい住まい方暮らし方が実現できているといえるのではないだろうか。
他にもいろんな可能性があると思います。
・(たとえば二人とも作家なので作品がどうかわっていくか)
作品も変わっていくはずと予想する。これまでは生き延びるために(お金を稼ぐために)作品は多くの人に売れる作品を意識的につくっていた可能性が高い。今後ももちろんそれも必要だろうが、それ以外に例えば、全然売れないちょうちょの唇の陶芸をつくったか、もしくは誰か一人に依頼されて、その人のための作品を作ったか。などの数を計測するのもアイデアの一つになります。(でもこれって住まい方暮らし方に直結しないのではという可能性があり、例えば夫婦それぞれの料理の時間とそれぞれの一点もの作品の数の相関関係で暮らし方が作品に反映されていく過程を描くのもありかもしれない)
・(近所の人との関わりなども数字化する)
これまで仕事以外での人の関わりも住まい方・暮らし方に関係するかもしれない
この類題としては環境2011新しい単位や総合2015の指標などがあげられると思います。
またこの環境2023(生きる)や環境2020(人間性)は2025年2026年の総合政策でも取り上げられているような「生き方」への解答のヒントにもなると思います。
受講生解答例(最終添削前)
1. 文献1と文献2は人間と自然という一定ではない存在によって自分も自由に変化させられるという点で共通するものを見ることができる。文献1では、その日の気分や気候、収穫できたものなどによって献立が変化するとあり、レシピを使用するのではなく自分の感覚とその時の自然の状態によってメニューが変化することが読み取れる。同じく文献2においては、人間は本来食べていくために土を耕し、物を運ぶために車や船を作り、雨風をしのぐために家を作るなど生きるために自然とつなががっていたため、震災などでは大雪や津波に苦しむなど自然に常に影響されてきたということを読み取ることができる。
2. 文献1と文献3は、自分の感覚をもって良いと思う事を大事としている点において共通していると言うことができるだろう。文献1では献立を考えるときレシピにそって作るのではなく、自分の感覚を使いその日の気候や気分、素材から料理を作ることが大事だと説明していて、文献3では社会規範のなかで良いとされているコンタクトレンズを探すのではなく、自分が良いと思うちょうちょの唇を探す方が価値のあることであると説明されていると読み取ることができるだろう。
3. 定性的研究は、一般的に自然についてわかり切ったように思われている科学の世界についてより立体的な像として自然をとらえる上で、はっきりしないものを図る力として重要である。文献3には社会規範において価値のあるものとされているものとしてお金など数字になるものが挙げられていて、生き伸びるためにはこれらは必要かもしれないが、もっと人生を深いレベルで見たときに生きるためにはもっと数字にならない、名前もない、社会的にへんてこだと思われるようなものが価値を持つ事が述べられていると読み取ることができ、科学おいても数字にならないものをみる力が量的に表されている事をもっと深いレベルで研究するという意味で大事になるのではないか。
※定性的研究の説明をもう一度読み込む必要があると思います。数字にならないものが大切という主張は理解できるが、定量の前に定性をやるという資料4の方向性とどう資料3が絡むのかの考察。
4. 文献2と文献5は生きる上で自然という存在に寄り添うことの重要性を説いているという点において共通している。文献2は生きるということにおいて自分の体で自然を感じることが重要だと述べられている。さらに作ることにおいても動物や自然に寄り添い声を聴いて初めてそれを用いて作品を作ることができると述べられている。同じように文献5でも、外から観察するだけではなく、一緒になって感じ、そのものの気持ちを理解することで初めて手段としても役立つとある。
※少し「自然」に偏りすぎか。「自然」を「観察対象」や「観察対象の気持ちや立場」と置き換えても成り立つ。
5. 文献5が論じる学問的態度は、誰かの立場になって他人の声を聞き、一緒に感じる力として文献4で述べられている定性的研究のやりかたに相通じるものがあるといえるだろう。定性的研究は自然現象を数字で表す前に、図るべき性質を決めるために定性的研究が必須であることが述べられている。ここで定性的研究をする上でやることの一つとして文献5で内田さんの桜とともに生き桜とともに考えることがあるのではないか。外部から観察するだけではなく、観察したいものに寄り添いその立場に立って様々な環境や現象を見るということについて定性的研究のやり方と内田さんの自然とのかかわり方は似ているものを見ることができるだろう。
6a. 新しい土地でのBさん夫婦の暮らしは、悟性を用いて生き延びることの中にも生きることの要素を取り入れたものになると考えられる。食事では、都会でレシピに従い計画的に料理していた生活から、文献1にあるような暮らし方である常に変化する自然とともに変化せざるを得ない生活になることで、その日の気候や気分、手に入る素材をもとに自分の感覚を働かせて料理するようになるだろう。次に仕事について、今までは社会的に価値のあるもの、多くの人に評価される作品を作っていたかもしれないが、自然と関わり自然の気持ちに寄り添って生活することで、たとえ数字にならない、多くの人に認められないものであっても自分が本当にいいと思ったものを作るようになるだろう。
6b. まず初めにBさん夫婦の暮らしを調査するためには、定性的研究によって何をはかるのかを決めて、定量的研究によって数値化することができるだろう。6のaでBさん夫婦の生活がどのようなものになるのかを予想した結果、生きることをするようになるという予測ができた。そこで定性的な研究である生きるということを数値化するためには彼らと一緒に同じ場所で生活することが有効だといえるだろう。 具体的にはキッチンに立っている時間や時計を見る回数を記録することが有効だといえるだろう。キッチンに立っている時間については、生活が変わるとレシピ通りに料理を作らなくなり、自分でその日の天気やその日ある食材を活かしたメニューを考えるようになると予想することができるため、キッチンに立つ時間が長くなることが予想される。時計を見る回数については、例えば畑仕事などをするとき時間に制約されず没頭したり、電車やバスなどの交通網がないため一日の予定も時間単位ではなく内容で決めるようになるなど、自分の感覚を大事にし、時間を意識するタイミングが減ると考えられる。これ以外にも、一緒に生活することによって彼らの小さな行動や生活の一場面に生きる事のヒントを見つけることができるかもしれない。 さらに彼らの「生きる」生活について映像化し作品として世界に届けることで、自然と一緒に生活する事だけが生きるわけではなく、都市にいる人たちにも「生きる」ことはどのようなことなのかというヒントを与えるきっかけになるだろう。 このように、一緒に生活し彼らの暮らしを観察することで、「生きる」事はどのような事なのかを明らかにし、多くの人に影響を与えることができるだろう。
